臨床リンパ浮腫の生体インピーダンス分光学での防止

臨床リンパ浮腫の生体インピーダンス分光学での防止

パトリック・W・ウィットワース

2018年3月14日(水)

 アメリカで300万人から500万人が乳がん関連のリンパ浮腫に冒されている。今年は新たな約23000の症例(センチネルリンパ節生検後7パーセント、腋窩郭清後25パーセント)が予測されている。リンパ浮腫は日常生活に害を及ぼすにとどまらず、患者ががん治療から解放されるのを不可能にし得る。経済面から考えると、治療から2年以内のリンパ浮腫診断は、乳がん治療の標準的費用に14600ドル上乗せするということが、近年の民間支払い者が明らかにしている。

 しかし現在、乳がん治療プログラムの中のいくつかが、特に腋窩郭清、放射線治療、タキサン系抗がん剤治療の後危険性の高い患者に関して、臨床リンパ浮腫の症例が大幅に減少していると報告している。乳房センターは、生体インピーダンス分光学(BIS)を使った前臨床発見を用いることで、こうした危険性の高い患者で臨床リンパ浮腫に発展するのは10パーセントに満たないと報告している。このような劇的な現象がどうして可能なのか。答えは乳がん治療の主原則の一つから来ている。早期発見と個別的介入である。

 このような改善が早期発見でどのように可能になるかを理解するには、リンパ浮腫が、四肢細胞外・細胞内液(ステージ0リンパ浮腫)の割合が臨床的に予測できない増加を遂げることで始まるということを認識すると良い。精緻な巻尺や水置換技術ではステージ0リンパ浮腫は発見できない。ステージ0は光学的ペロメトリー、生体インピーダンススキャン、リンパシンチグラフィーのみで発見できる。ステージ1リンパ浮腫は、組織が弾力性をまだ維持していたり、液体貯留が上昇、圧縮や脱水ですら元に戻るので、間欠的である。ステージ1リンパ浮腫はどんな方法でも発見できるが、あくまで検査や測定中に現れた時のみである。組織弾力性はステージ2で著しく、そして永久に失われ、すべての方法がリンパ浮腫を発見すると、永久繊維症や弾力性の喪失を防ぐには遅すぎる。ステージ2は慢性的に一生涯用心と管理を要する状態だが、早期発見なしではステージ2がリンパ浮腫の患者の殆どが受ける診断である。ステージ3では、実際脂肪の蓄積の結果リンパ量の過多になる。こうした最も進んだステージの場合では、細胞外には流動体が殆ど残らない。

 BISが利用可能で非浸潤性のため、リンパ浮腫の前臨床(ステージ0)発見に最もよく使用される。ピッツバーグ大学の有望な観察研究で、21か月以上巻き尺で計測し続けたが、44人の腋窩切開患者のうち16人(36パーセント)が臨床的リンパ浮腫になったことが判明している。一方、腋窩切開後BISで経過観察し続けた結果、136人の患者のうちたった2人(1.4パーセント)しか臨床的リンパ浮腫にならなかった。BIS経過観察のグループの136人の患者のうち45人(33パーセント)が、リンパ浮腫指数(L-Dex)スコア(この研究で使われるBIS技術で生成された)が10ポイント上がった。患者に10ポイント(3の標準偏差)の上昇が見受けられれば、大抵1か月のOTC圧縮スリーブとマッサージで管理される。おそらくコントロール集団の36パーセントと同じ方法で臨床リンパ浮腫に罹患してしまった患者である。ナッシュビル・ブレスト・センターでは、BISで経過観察された596人の患者(高リスクのある80パーセント)のうち3パーセントが、緩和治療を要求した。一般的には、患者は2年間3か月おき、そして次の3年間6か月おきにBISで経過観察される。L-Dexスコアで10ポイント上昇は、大抵4週間のOTC圧縮スリーブとマッサージに対する治療介入のきっかけとして使われてきた。ヴァンダービルト大学が先導している有望な無作為検査では、調査官が7ポイント(2標準偏差)上昇を治療介入を引き起こす効果的な中断として評価している。

 先制治療がリンパ浮腫の進行を妨げられるという説得力のある証拠は、2010年のBMJで報告されている有望な無作為検査に起因する。患者たち(n=110)は無作為に、標準的な患者教育に対して、規則的、先制、または緩和理学療法を受け、腋窩切開後1年経過観察された。教育グループでは患者の25パーセントがリンパ浮腫になった。予防グループでは患者の7パーセント(P=.01)がリンパ浮腫になった。リンパ浮腫が先制治療で防げるというレベル1の証拠をこの試験が供給するけれども、すべてのリンパ浮腫の危険にさらされた患者にとって、予防緩和理学療法は非実用的、高額で、患者に受け入れられないと、臨床医師の殆どは信じている。一方、細胞内に対する細胞外のリンパ流動体の割合の著しい増加に見られる患者にとって、的を絞った介入は-単純なOTCスリーブ圧縮が効果的な場合-実用的で、費用対効果が良く、患者に受け入れられる。

 こうしたアプローチで費用や節約を見積もると、潜在的にかなり費用対効果の良い結果を示唆する。BISの費用が125ドル(2017年のメディケア支払いに基づく)と仮定して、100人の患者を3か月おきに検査するのを2年間続けると、100000ドルかかる。無作為予防検査の結果を用いると、BISと的を絞った単純な介入とで経過観察された100人の腋窩切開の患者のうち7人は、追加の健康保険費用102200ドル(2年以上リンパ浮腫の追加費用14600ドル x 7人の患者)で臨床リンパ浮腫に罹患する。このような方法で観察されていない患者にとっては、追加費用は、臨床的リンパ浮腫に罹患すると見られる25人の患者に対し365000ドルに及び、2682800ドルの総貯蓄と160800ドルの純貯蓄(BISの100000ドルを引き、2000ドルがスリーブの費用と見積もると)を産出する。100人の患者に対し約160000ドルの推定節約を、2年以上リンパ浮腫を発症すると見られる約40000人のアメリカの患者に適用すると、2年以上の期間に対し6400万ドルの節約が見込める。専門家の殆どが、質が調整された寿命(QALY)、効果的な単純介入によるリンパ浮腫の前臨床(ステージ0)発見に対し、50000ドルから100000ドルの費用を受け入れるということを考慮するのは、健康保険の費用を減少し、同時にQALYを伸ばす、貴重な機会を体現しているのである。

 

*******************************************************************

この翻訳はボランティアが行ったものです。ふに落ちない点がありましたら下記の原文をお読みください。

Preventing Clinical Lymphedema With Bioimpedance Spectroscopy