ステージ4の乳がんでも、私は自分なりに生活しています

ステージ4の乳がんでも、私は自分なりに生活しています

I have Stage 4 Breast Cancer, But I’m Still Living My Life

アン・シルバーマン、2017年5月24日

転移性乳がんと診断されたショックの後、いったい何が起こるのでしょう。8年近くも抗がん剤治療を受け、既に予想された生存期間に達した者として、私は生きていることの喜びをかみしめています。

しかし、生きることは楽ではありません。いままで受けた治療はがんが転移した肝臓の半分を摘出する手術、それが再発した時に受けた定位放射線療法、そしてその間ずっと続けたいろいろな抗がん剤治療です。

こうした治療のすべてが―しかもいつかはこうした治療も効かなくなると知りながら―身体だけでなく心の健康にも大きなダメージを与えます。私は生活を少しでも安易にするような対処メカニズムを考えなければなりませんでした。

午前10時

私はいつも突然目覚めます、たぶん長年勤務していたことの名残りでしょう。痛みで一瞬のうちに意識が目覚めます。まず窓の外へ目をやりお天気を見、それから携帯で時刻とメッセージをチェックします。ゆっくりと起き上がり、ダイニングルームへと歩いていきます。

この頃私は長時間の睡眠を必要とし、夜はたっぷり12時間眠り、昼間は昼寝をします。抗がん剤治療で疲労感が著しいので、できるだけ朝は何もしないようにしています。母の日のブランチも、クリスマスの早起きも、友達との朝食ももうしません。体が目覚めるまで、だいたい10時頃、時には11時頃まで体を休ませます。もっと早く起きれればいいんですが、早起きすると午後にはひどく疲れてどこででも眠ってしまいます。

午前10時半

退職した夫はすでに数時間も起きていて、私にコーヒーと軽い朝食、マフィンとか軽いものを持ってきてくれます。私はなかなか食べることができないのですが、最近目指す体重100パウンドになりました。

私は以前から新聞を読むのが好きで、コーヒーを飲みながら地元のニュース記事を読みます。私はいつも死亡記事を読み、「長く勇敢に」闘ったがん患者を探します。その人達が何年生きたか知りたいのです。

でもたいていは毎日言葉遊びゲームを楽しみにしています。パズルを解くのは脳の健康によいと言われています。八年間の抗がん剤治療で私の脳はぼやけてしまい、これをがん患者は「ケモ・ブレイン」と呼んでいます。この前の抗がん剤治療から4週間たっているので、今日は明日よりもパズルが易しいのです。そう、今日は抗がん剤治療の日で、明日は私はZとVを区別するのが難しくなります。

午前11時

パズルを終えます。

今日はケモセラピーの日だとは分かっていますが、カレンダーで時間を調べます。私にはスケジュールを覚えていることが難しくなっています。もう一つ私が調節したのが腫瘍内科医との全部の予約を水曜日にしたことです。水曜日は医者に行く日と分かっているので、ほかのことは一切予定に入れません。私はすぐに混乱してしまうので、バッグの中とキッチンのカウンターにカレンダーを今月のページを開いて置いてあって、すぐに予定を見れるようにしています。

今日は予約の時間を再確認し、主治医に会ってスキャンの結果を聞くことに気がつきました。また息子が休み時間にちょっと立ち寄ることになっています。

この頃では、一日に一つのことだけをすることにしています。ランチに出かけるかもしれないし、映画を見に行くかもしれませんが、ランチと映画の両方はしません。私の体力は限られていて、限度を超えることはできないことを苦い経験を通して学びました。

今日最初の鎮痛剤を服用します。長時間有効な薬を一日に2回、短時間有効の薬を4回服用します。痛みは抗がん剤治療による神経障害から起こります。その上医者は私がケモに対して神経毒性の反応を起こしていると言っています。

それに対してはどうすることもできません。この抗がん剤治療で私は生きていられるのです。既に治療を3週間ごとから一月に一回にして神経障害を遅らせようとしています。私には絶え間のない深い骨の痛みがあります。手術か放射線治療、または抗がん剤治療による傷跡と思われる箇所に急激な腹痛も起こります。

治療を受けなかった時からもう何年もたっているので、何が何の原因なのか、痛みと疲労感のない生活とはどんなものなのかをもはや思い出すことができません。言うまでもなく、鎮痛剤は私の生活の一部です。完全に痛みを止めはしませんが、私が生活するのを助けてくれます。

午前11時15分

鎮痛剤が効いてきたのでシャワーを浴びて、治療に出かける用意をします。私は香水が好きで集めていますが、だれも変な反応を起こさないようにつけるのはやめます。治療室は狭くて混んでいるのです。思いやりがあることは大事です。

今日の服装の目的は楽であることです。私は長時間座っていますし、治療室は寒いです。腕の留置ポートにも触れる必要があるので、長袖ですぐに腕まくりできるゆるい服を着ます。ニットのポンチョは着たままで看護士が薬の管をつなげることができるし、私は温かくしていられるので便利です。腰の周りには何もきついものはつけません―すぐに薬液でお腹が膨らんでしまいます。ヘッドフォンと携帯電話用の充電器を持っているか確認にします。

午後12時

次の2週間は何をするにも体力がないので、今のうちに洗濯をしておきます。夫がほとんどの家事を担ってくれていますが、洗濯だけはいまでも私がします。

息子がエアコンのフィルターを替えるために立ち寄ってくれます。嬉しいです。息子に会うとなぜ私がこんなにがんと闘っているのかを思い起こします。これだけ長く生きていると結婚式や孫たちの誕生など、たくさんの喜びに出会いました。末息子は来年大学を卒業します。

しかし痛みと苦しみの毎日を送っていると、こうした治療を受けたり、何年も抗がん剤治療を受けたりする価値があるだろうかと自問してしまいます。何度も止めようと思いました。でも息子に会うと、なぜ闘う価値があるのかを再認識します。

午後12時半

息子は仕事へ戻っていったので、私はメールとフェイスブックをチェックします。私にメールしてくる新たに診断されてパニックに陥っている多くの女性たちに返事を書きます。がんが転移したという診断を受け、2年以内に死亡すると信じた初期の頃を思い出します。私は彼女たちを励まし、希望を与えます。

午後1時半

ケモに出かける時間。車で30分で、私はいつも一人で出かけます。それは私のプライドです。

受付で係りに挨拶します。彼女の子どもが大学へ入ったかどうか聞きます。2009年以来、2、3週間ごとに通っているので、そこの職員の全員を知っています。彼らの名前と子どものあるなしを知っていますし、昇進や口論や過労、祝い事などすべて、ケモを受けながら目撃してきました。

午後2時半

名前が呼ばれて、体重が量られ、私は治療用の椅子に座ります。今日の担当看護士がいつもの手順で始めます。腕のポートに針を入れ、抗嘔吐剤をくれ、抗がん剤カドサイラの点滴を始めます。終わるまで2、3時間かかります。

私は治療中携帯で本を読んでいます。以前はほかの患者さんとおしゃべりし、友達になったりしましたが、8年の間には皆ケモを終えて去っていったので、今は自分一人でいることが多いです。ケモはほとんどの患者にとっては稀な怖い経験ですが、私には生活そのものです。

しばらくしてから医者と話をするように言われて、私は点滴スタンドを引きずって行き、診察室で待ちます。最近のPETスキャンの結果にがんが現れているかどうかを知らされるのですが、この瞬間まで私は落ち着いています。医者がドアを開けたとたんに、心臓がドキッとします。けれど予期したように、ケモがまだ効いていると医者は言います。またしても執行猶予。私はどれほど長く効果が続くのか聞きます。驚いたことに、彼はいままでこれほど長く再発せずにケモを続けた患者はいないと言い、私は炭鉱内のガスの有無を告げるのに使われるカナリアのような実験台だと言います。

良い知らせを聞いて嬉しいですが、驚くことに気が沈みもします。私の医者は同情的でよく理解してくれています。彼は現時点では私は新しいがんと闘っている患者と変わらないと言います。結局私は同じ治療を際限なく続けていて、いつかその効果が終わるのを待っているだけなのです。医者がよくわかっていてくれるのに慰められ、今日はまだ終わりが来なかったことを再認識します。私は今のところ運がいいです。

午後4時45分

ケモ治療室にもどると、看護士さんたちが私の良い知らせを聞いて喜んでくれます。注入器をはずして、裏口から出ます。ケモを終わった時の感じというのは、ちょっとふらふらして、薬液でいっぱいという感じです。手と足が焼けるような感じがして、かゆくて掻いてばかりいます。人気のない駐車場で自分の車を見つけ、家路に着きます。陽はとてもまぶしくて、早く帰りたいと思います。

午後5時半

夫に良い知らせを伝えてから、すぐにベッドに行き、洗濯物のことは忘れています。ケモの前に与えられる薬で吐き気はありませんし、まだ頭痛も起こっていません。昼寝をしなかったのでとても疲れていて、布団にもぐりこんで眠ります。

午後7時

夫が夕食を作ってくれたので、起きて少し食べます。ケモの後はちょっと頭が混乱していてなかなか食事ができません。それで夫は食事を簡単なものにしてくれています。大量の肉やスパイスは使いません。ケモの日にはランチを食べないので、夕食はしっかりと食べようとします。食後、私達は一緒にテレビを観て、それから私は夫に医者が話したことと私の現在の病状をもっと詳しく説明します。

午後11時

抗がん剤のせいで、私は歯医者で本格的な治療を受けることができません。そこで口の中の衛生にとても気をつけています。まずウォーターフロスを使います。歯石を除く高価で特別な練り歯磨きを使って歯を磨きます。フロスを使います。それからホワイトニング成分の入った刺激の少ない練り歯磨きを電気歯ブラシにつけて磨きます。最後にマウスウォッシュですすぎます。歯肉炎を防止するために歯肉に塗り込むクリームも持っています。全部ですくなくとも10分かかります。私はまたしわを防ぐために肌の手入れもします。夫はそれを滑稽だと思っています。私はレチノール、特別の美容液とクリームも使います。念のためにね!

午後11時15分

夫はすでにいびきをかいています。私はベッドに滑り込んでもう一度オンラインで何が起こっているかをチェックします。それから深い眠りに着きます。私は12時間眠ります。

明日はケモの影響が出て、吐き気と頭痛が起こるかもしれませんし、そうでないかもしれません。まったく分かりません。でも充分睡眠をとることは最良の薬だということは分かっています。

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この文章で腑に落ちないところがありましたら、下記の原文をご参照ください。

https://www.healthline.com/health/breast-cancer/day-in-life-metastatic-breast-cancer#1

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