新しいがんの治療薬が飛び交う中で、本当の効果がどのくらいあるの?

新しいがんの治療薬が飛び交う中で、本当の効果がどのくらいあるの?

カイザーヘルスニュースのリズ・サーボによる記事

【記事のハイライト】

早期のがん治療の機会を望む人々に押されて、FDA(アメリカ食品医薬品局)は、近年相次いでがん治療薬を承認した。そのうちの一部は、非常に優れた数年間の延命効果をもたらした。しかし、多くのものが限定的な効果を提供するだけである、と研究者は語った。

マレーネ・マッカーシーの乳がんは、この7年間で急激に大きくなり、骨に転移し痛みを生じ、杖なしでは歩けないほどに進行した。73歳の彼女は、自身の病気が完治する方法がないことをわかっているにも関わらず、研究者がより良い治療法を見つけることを望んでいる。

私を実際に救うことが出来る薬を見つけた、と彼女が言ってから数年が経っている。マッカーシーは、FDA(アメリカ食品医薬品局)が、治療効果や延命効果の証明なしにがん治療薬を承認していることに失望したと語った。『それは単純な事ではないの。私は、その治療薬が一部の人には効果がありえることは解っている。でも私は対象にならないの。』ロードアイランド州のコベントリーに住むマッカーシーは言った。

がん治療薬の投与を早くから受ける機会を望む患者擁護団体に後押しされて、FDAは近年がん治療薬を相次いで承認した。そして、多くのがん患者に希望と多額の費用のかかる新しい治療の選択肢を与えた。これらの薬のいくつかは、明白なホームランであり、限られた寿命のがん患者が数年間も長く生きることに役立っている。

FDAのがん治療薬に関する承認方法について著書のあるOregon Health and Sciences University医学部助教のビナイ・プラサード博士は、生存または生活の質を改善するという科学的証拠のない効果の不明瞭な薬が多い、と語った。

全体の癌生存率は、過去10年でかろうじて更新している。JAMA Otolaryngology-Head & Neck Surgeryの研究によれば、2002年から2014年までに承認された72のがん治療薬は、患者の生存期間を薬によって2.1ヵ月だけ伸ばした。そして、それらは大当りなのである。過去2年間に承認されたがん治療薬の3分の2には全く生存期間を延長することを示している証拠がない、とプラサードは語った。

JAMA Internal Medicineに11月に発表された研究で、研究者のダイアナ・ザッカーマンは、18の承認されたがん治療薬が患者の生きる時間を延ばす効果がなかったことを報告した。わずかに1つの承認薬は、痛みや疲労を楽にすることで、患者の生活を改善するはっきりとした結果が得られた。2つの承認薬は、生活の質を悪化させた。

例えば、最も高価な薬(cabozantinib)を服用している甲状腺癌患者は、下痢、疲労、睡眠障害、苦痛、記憶の5つの症状の測定でより悪い結果が出たと、ザッカーマンは述べた。

「有益性が少なく、副作用がこれまでの薬と類似し、コストが非常に高い治療について、何が本当の治療価値であるか疑われ始めた。」

近年に承認されたがん治療薬は、平均で年間171,000ドルに達する(the Center for Health Policy and Outcomes at New York’s Memorial Sloan Kettering Cancer Centerによる報告より)。

高いがん治療薬の値段は、患者に彼らががん治療薬のメルセデスの様な高級品を使っていると思わせるにも関わらず、研究では、薬物の価格にはそれがどの程度効果を発揮するかという事には関係がないことを示した。

「我々には、効果のない可能性のがん治療薬が、驚くほどおかしな金額で売られている事をどうにかするシステムはない」とザッカーマン(president of the National Center for Health Research, a nonprofit in Washington that aims to explain research to consumers)は話した。

進展の遅いがんの事も考慮して、American Society of Clinical Oncologyは、新しいがん治療薬の目標を、生存期間を延長するか、少なくとも2.5ヵ月の期間で腫瘍の増殖を抑えることと設定した。頻繁に優れた治療薬を見つけることはとても難しいため、目標値は比較的低く設定されたと、Memorial Sloan Ketteringの骨髄腫の専門医であるSham Mailankody博士は話した。彼女は、JAMA Oncology誌に9月に発表した研究で、2014年から2016年までに承認される5つのがん治療薬のうち、それらの効果の基準を満たすものが、わずかに1つしかなかったことを報告した。

実際のがん患者は臨床試験の時より年を取ったより病気の状態も進んでいるため、慎重な対照臨床試験によって得られたわずかながん治療効果の増加であっても現実の世界では効果が消え去ることが起こると、Hanna Sanoff博士( an associate professor and section chief of the University of North Carolina School of Medicine Gastrointestinal Medical Oncology Program)は言った。

癌は、主に老化の疾患である。

患者の59%は65歳以上である、そして、30%は75歳より年を取っている。

Journal of Clinical Oncology誌の2012年の報告では、がん治療薬の試験の参加者のわずか33%が65歳以上の患者で、10%が75歳以上の患者であった。

Oncologist誌に9月に発表された調査においては、サノフ博士は、肝癌において3ヵ月の生存延長を示したがん治療薬が、臨床試験の対象ではないメディケア患者においては生存の延長効果がなかったことを報告した。

国防総省へ乳がん臨床研究提案を見直すように要求している乳がん患者のマッカーシーは、自身が年齢のために、がん治療薬の臨床試験に二回拒絶されたと言った。

実験的な段階の治療に関する研究に際しては、「試験に参加する年齢の制限が70歳だったので、私は試験に参加するには年を取りすぎていた」と、彼女は言った。

FDAの官僚たちは、生存の改善の根拠がないと言われた多くの有望ながん治療薬に対しては理由があると言った。なぜなら、癌はゆっくり成長するので、新しい薬が生存期間を延ばす効果があるか検証するのには長い時間がかかるとFDA’s Oncology Center of Excellence の Richard Pazdur博士は述べた。

彼は、個々の薬ががん患者の生存を若干改善する可能性があり、「じっくりと時間をかけ、他の薬との組合せで使われ、それらの治療薬は病気を治していくことが出来る。」と話した。

いくつかのがん治療薬の臨床試験のデザインでは、薬が患者の生存期間を延ばすかを正確に判断するのは難しい。それは、多くの臨床試験が、すぐに治療の必要な患者が不利益をこうむらないために、治療薬とコントロールの対照薬を交互に患者に投与するからである。

最後に、Pazdur博士は、例えば肺癌のための分子標的治療のように非常に効果的に生存期間を延ばすということも全体のがんの生存期間に対する効果には反映されないと話した。

場合によっては、薬が承認されたあと、FDAは長期の研究を行うことを製薬会社に要求する。そして、薬が期待された効果を果たすかどうか判断するべきだ。しかし、本研究の多くの薬は、それに対して答えを提供していないと、ザッカーマンは言った。

一旦、薬が承認されて、誰でも利用できるならば、患者は臨床試験に関与する必要性がない。それで、がん治療薬の臨床研究は明白な結論なしで終わることができる。

黒色腫(メラノーマ)の診断後に5年以上生きることの出来た患者の数は、免疫療法の到来以前の5パーセントから30パーセント~40パーセントまで増加した、とSteven O’Day博士(director of immuno-oncology and clinical research at the John Wayne Cancer Institute at Providence Saint John’s Health Center in Santa Monica, Calif)は語った。

免疫療法は、患者自身の自然の免疫系を活性化して癌細胞と戦うようにすることで効果を発揮する。

オーティス・ブローリー(chief medical officer at the American Cancer Society)は、FDAが承認の基準を下げていることを懸念していると言った。

「より早く治療薬を世に出そうとすることで、科学的に厳密になっていない。」とブローリーは主張した。

FDAが薬を承認する前に生存データを提供することを製薬会社に要求しない限り、「我々は、本当に生存期間を延ばす効果があるのかという答えを決して受け取ることはできない。」とザッカーマンも主張した。

「これらの市場に出ている高価な薬について、それらの薬がどの程度の効果があるか、または、どれくらい安全かを判断するのに必要とする情報が決して足りていない。」

ドナルド・トランプ大統領はFDAの規則を緩和すると誓って、彼が更に薬承認のプロセスの速度を上げたいと最近製薬業界リーダーに話した。

有効であるか、有害であるか?

強いストレスの中にいる時に決定を迫られる癌患者は、治療の完全なリスクと有益性を必ずしも理解できていない、とブローリーは語った。

患者と医師は薬の利点を過大評価するが、それらのリスクと副作用を過小評価する傾向があるのだ。

FDAにおいて、大きな最近の変化の1つは、より多くの薬が「無進行生存」に基づいて承認されているということである。腫瘍サイズの小さい変化がCTスキャンでは、必ずしも明らかに見えないので、腫瘍が20パーセント以上発達しない限り、医師は腫瘍が進行せず治療は順調であると考えると、ブローリーは言った。

医師は、腫瘍の成長を遅延させる薬が、患者がより長く生きるのを援助することを常に望んでいる。

しかし、2015年に発表された調査において、多くの統計解析が無進行生存と総生存率のつながりが非常に弱いと発表した。

無進行生存のような手段は「薬が実際に作用するか否かに関するただの推測である。」とブローリーは言った。

「無進行生存に基づく薬を承認することに関する問題は、薬が患者のために実際に働いているかどうか、正確にわからないということである。」

ブローリーは、患者が長期の副作用が知られていないがん治療薬によって傷つけられることを心配していると言った。

2008年に乳癌のために承認されたアバスチンに関する調査では、この薬が生存を改善したという証拠がないため、販売開始から3年後にその承認を失った。FDAは、心発作、出血と高血圧を含む致命的な副作用が薬の利点を上回ると結論した。

「我々が長い時間使用した薬が、有害であるとついに結論が出たため、結局市場からそれらは消えることになった」とブローリーは語った。

「乳癌は、治療のためのロードマップがあるようでない。

この病気は、すごく癖の悪い疾患である」と、マレーネ・マッカーシー。

マッカーシーは、彼女が試した新しい癌治療に失望した。

彼女の腫瘍の増大を抑えていた最後の薬はレトロゾールであった。それは1997年に承認されたものだ。それは、マッカーシーの腫瘍を3年の間順調に保った。

2015年に、彼女の腫瘍が再び成長し始めたあと、マッカーシーはIbranceと呼ばれる新しい乳癌薬の使用を開始した。

標準ホルモン療法と併用されるとき10ヵ月の無進行生存を改善したので、FDAはIbranceを承認した。

しかし、マッカーシーがIbranceを開始した4か月後に、腫瘍は骨に転移した。

医師が、この薬があまりに多くのリスクを有すると彼女に警告したあと、マッカーシーはもう一つの乳癌薬であるAfinitorを使わない事を選択した。

プラセボに対して4ヵ月の間腫瘍成長を制限したので、FDAは2012年にAfinitorを承認した。

「私は、4ヵ月より生きたい。」、4人の子供と4人の孫がいるマッカーシーは言った。

しかし、Pazdur博士が言ったように、人生を延長することはなくても、薬が患者を助ける多くの方法がある点に注意し、腫瘍を抑制したように保つことは患者の大きな助けである。

例えば、骨腫瘍を縮小することは、痛みを軽減することができる。

肺腫瘍を縮小することは、呼吸をより容易にすることができる。

「大部分の患者は、医者に行き『あなたの腫瘍はスキャンによる検査で、安定している。新しい病変がない。』と言われ喜ぶ、とSchilskyは言った。

「私は、長年にわたって患者にその結果を与えた、そして、彼らはそれに満足している。

彼らは、腫瘍が完全になくなる場合とおなじように幸福だろうか?もちろんそうではない。

しかし、がんの進行がなくて、さもなければOKであると感じることは、悪い結果ではない。」

マッカーシーは、乳癌になりやすいかどうかを明らかにすることが長い間止まった状態で、研究者が癌の予防に集中することを望むと言った。

彼女が44歳のとき最初に診断された癌は、彼女の骨に転移する前の20年間消えていた。

「現状は、十分に良好でない」と語るマッカーシー。

「私は、私の孫娘が癌にかかるのを防止するために乳がんの癌ワクチンを作って欲しい。

私は、死に際の息でそれのために働いている。」

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この文章はボランティアにより翻訳されたものです。専門家の翻訳ではありませんので、腑に落ちないところがありましたら、下記の原文をご参照ください。

http://www.cnn.com/2017/02/09/ health/hope-vs-hype-cancer- drugs-partner/index.html