平日さんぽ:善意の加害者にさせられないために。そして、自分ががんになった時のために。

ちょっと前まで、”がん”という病気を全く分かっていなかった。

だから、誰かががんだと知ると、自分の知っている範囲の知識であれこれ考えたり、意見したりしていた。

例えば、「がんには⚪️⚪️がいいらしいよ。」「こんな情報、ネットで見たよ。」などだ。

そう、巷には情報が溢れている。色んな本が有名出版社から発売されベストセラーになっている。

『患者よ、がんと闘うな。』『自然にがんが消える。』『がんより怖いがん治療』『世にも美しいがん治療』などだ。

がん宣告を受けた人間にとっては思わず飛びつきたくなるタイトルだ。誰だって自分の身体にメスなんて入れたくない。噂に聞く抗がん剤治療の苦しみを味わいたくない。放射線治療なんて名前からして危険そうだ。

その上、執筆者が医者という肩書きを持っている。もうこれは正しい情報だ。自分は危うく病院に騙されるところだった。

良かった、いい本に出会えて。私は、この先生が勧める自然療法を選択する。

そんな心理に至るのは実によく分かる。だって、自分ががんだから。今だって、自然治癒したらどんなにいいかって思うもの。

健康的な食生活して完治するなら、誰だって、その方がいいでしょう?

だけど、そんなわけないんです。

がんという病気を少しでも理解すると。

がんって、がんというおできやニキビみたいなのがが体内に発生する病気じゃないし、血液がドロドロだからとか、何かウィルスが入ってなる病気でもありません。

がんって、自分の遺伝子が傷つくことで、普通の細胞ががん細胞になり、ブレーキの壊れた車みたいにがん細胞の増殖が止まらなくなる病気です。

(詳細は国立がん研究センターのサイトが結構、素人でも分かりやすかったのでどうぞ。↓)

http://ganjoho.jp/public/dia_tre/knowledge/cancerous_change.html

遺伝子って、当たり前ですがみんなそれぞれ違います。

だから、がん細胞って一概にいっても、人それぞれ違うものなんです。もちろん、がん細胞が発生した場所(臓器)が違うだけでも、全く違う病気とも言えるのです。

だから、それを、ひとくくりにして、『がんはこれで治る』って、ありえないことなんです。

素人からしたら、はっきり「これで治る!」なんて断言してくれたら、嬉しいし、判りやすい。でも、それに飛びついてはいけません。

「これで治る」なんて断言していることこそ嘘なんです。

百歩譲って、牛乳は身体に良い人もいれば、お腹を壊す人もいる。だから、『がんには⚪️⚪️が効く』の⚪️⚪️が一部の人には有効かもしれない。

でも、だからと言って、それを素人が勧めていいものでしょうか?

試してみてお腹を壊すぐらいならいいでしょう。でも、がんは間違った治療を選択したら

とり返しのつかない結果になるんです。命がかかっているということを忘れなてはいけません。

少しでも役に立つ情報をと思ってシェアをするんだと思います。だけど、医療の道を知らない人間が、安易な気持ちで情報を流すのは実はすごく危険なことなんです。その情報を信じたが故に誰かが死んだら、貴方は責任が取れるでしょうか?

例えば、私がその情報を見て、今、やっている治療を止めてしまい、数ヶ月後に死んでしまったら・・・。情報流した人は、寝覚め悪いと思います。

よくネットで拡散されているものに、「抗がん剤で殺される」的なものがあります。先日も”米国の国立医療機関がついに認めた”というブログ記事がFBにあり、”どれどれ、一丁、その英文レポートでも読んでみるか。”と思って、リンク先を開くと、誰かのブログで、やはりそこに貼り付けてある元ネタのリンク先を開くとやっぱり誰かのブログで、最後にはNOT FOUNDになりました。そんなのばっかりです。ちゃんとした文献にたどり着いた試しないのです。シェアする方はあまり考えずに良かれと思ってシェアしているんだと思います。

だけど、がん患者は敏感に反応しちゃいます。悲しいぐらいに。それがガセネタだって頭で理解しているけど、でも、もしかして・・って思っちゃいます。だから、執拗に調べます。その間の気持ち、分かりますか?

がん治療中は、肉体的にも精神的にもかなり弱くなっています。藁をも掴むぐらいまで追い込まれた気持ちになる人も多いと思います。

そこにつけこむ商売がどんだけ多いことか。

そして、その商売を知らず知らずに拡散という形でサポートしてしまう可能性が誰にでもあるのも事実です。

ネット社会になり、あなたも、あなたのまわりの人も、 きっと私も、知らず知らずに善意の加害者になっている。

そんなことが起こっているかもしれません。

そうならない為にも、命が関わる情報の拡散にはより注意が必要だな、少なくとも元ネタは精査してから流さなくては、と思う今日この頃なのです。

追記:

TVにも登場し、がんは放置するのが一番という方針で何冊も本を出している近藤誠医師という人物いる。

私には何人か医者の友人がいるのだが、この近藤氏の言うことを盲信してしまい、治療すれば治るのに治療拒否するがん患者がいて、説得するのが

大変だと聞いている。どの医者を信じるかはその人の勝手かもしれないが、国際基準に則った治療を最初から否定する医者はおかしいと気づいて欲しい。今、健康な人も、将来がんになる可能性があります。その時に、どの医者を信じていいのかの基準として、この近藤という医者もどきの存在も

知っておくといいかと思います。

尚、おかしいと思う根拠は、以下の女医さんのブログを読んで頂ければと思います。大変、易しく、ある意味面白く近藤説を論破してくれております。

http://jyoi-kakeibo.com/tondemo/4638/