平日さんぽ:人間とは実に欲深い生き物だ。

今日3月17日、執刀医のDr.スミスから許可が出た。

もう、走っていいと。

病院に行く時には小雨ぱらつく曇り空だったが、病院を出る頃には雲の隙間から青空が覗き始めていた。

一旦、アパートに戻り休憩し、正午過ぎ、ベランダから天気を確認した。青空がますます曇を押しのけ、風が「走ろうよ。」と手招きしていた。

45日ぶりに外を走る。ウォーキングもトレッドミルだったから、外で身体を動かすのは術後、今日が初めてだ。

ランニングシューズで地面を蹴るだけで、自然と笑みが出る。

ゆっくり、ゆっくりジョグで、イーストリーバーサイドまで。ここは一番近いマイランニングコース。

川沿いを南下する。ウォーキングの成果か、それともかなりゆっくりペースだからか、苦しくない。

歩くのと走るのではバランスの取り方が違うなぁ、なんてことを考えながらイーストリバー沿いのトラックまで走った。

立ち止まり、トラックを金網越しに見る。

スピード練習は嫌いだ。インターバルは苦手だ。だから、トラックトレーニングは大嫌いだ。

だけど、マラソンでいい走りをしたいからレースの前には何度かトラックを走るようにしていた。

去年、ラン友達と檄を飛ばし合い、走った時間がよみがえる。その時の自分が事実以上にキラキラ輝いていたような気分になり急に悲しくなる。

私はもうあんな風には走れないのか。

苦しさを抱きしめて走っていた自分が恋しい。

私はもうあんな風には走れないのか。

抗がん剤治療、放射線治療、そして、ホルモン治療と続くこれからの5年間がある。

先日、ウォーキングが出来ただけで感激し、満足していたはずなのに、前の私に戻りたいという気持ちが沸き起こってきてしまう。

素敵なカツラもあるけど、やっぱり剛毛でも自分の髪がいい。メスが入った身体はどうしようもないのは分かっているけど、でも、やっぱり元の身体がいい。歳を取って皺くちゃになるまで自分の身体と自由に生きたいよ。

頭では分かってる。よく分かっているよ。自分の置かれた立場を。

だけど、今日の私は欲深い。

あんじー