平日さんぽ:アメリカ最先端医療の凄さ。〜ミュージックセラピーと高額医療費〜

一昨日、今月後半から始まる放射線治療の検査でCTスキャン及びシュミレーションなるものを受けてきた。

待合室で待っていると、放射線治療医の担当ナースが、一人の男性を紹介してくれた。

「彼の名前はレイ。ミュージックセラピストよ。まずは、彼と打ち合わせをしてね。」

初め冗談かと思った。きっと、放射線治療の細かい説明やスケジュールなどを話してくれる人だけど、患者をリラックスさせる為にそんな紹介をしたのだろう。アメリカ人らしいなぁ、なんて感じだ。

だが、彼が案内した個室には、ギターケースとリラックスチェアーがあるではないか。

え、本当にミュージックセラピストなんているんだ、と目をパチクリ。

放射線治療になんでミュージックセラピスト?という疑問が湧く。

そんな私に、レイはにこやかに話しを切り出す。

「さて、今、君は何か心配や不安なことあるかな?」

「今?今は特に緊張も不安もないけど、もちろん、がん治療中だから、日常生活や治療に関しての、不安や心配はあるわ。」

「僕の役目は、治療中のそんな不安や心配を少しでも音楽で和らげることなんだ。」

その後、レイは今日のCTスキャンの仕組みや施行方法、6月終わりから始まる放射線治療が具体的にどんなものかを図を書いて説明し、最後に言った。

「今日は、この治療中に流す音楽を君と選ぶんだよ。」

へー、最新医療って、患者の不安を如何に取り除き、辛い治療を乗り越えさせるって域まできてるんだー。

話を聞いていて、つい感心してしまった。

だが、レイが具体的に曲選びをしてくれる段階で、私はハタと、困ってしまった。

なぜなら、私が治療中に聞きたいのは、それは、日本のトップアイドル・嵐(ジャニーズ)の曲だからである。

ミュージックセラピストなだけあって、きっとクラシックからポップスまで精通しているに違いあるまい。

だが、さすがに、日本の嵐の曲は知らないであろうし、知っていたとしても、彼のリストに入っていないであろう。

うーーーーん、どうしよう。きっと、神経が休まるような曲がいいんだろう。それは分かる。だが、さっぱり頭に浮かんでこない。

苦し紛れに、消去法で説明する私。

「えっと、ジャズは嫌い。」

「それはいい情報だ。了解。」

「ジャズを聴くと、イライラするの。」

「それは絶対、良くないね。」

そんな時間稼ぎをしつつ、何とかゆったりした曲を作るアメリカ人アーティストを思い出そうと必死になるが、日頃、聴いているのは、ワークアウト用にアレンジされたディスコ・ヒップホップ系曲ばかり。。。

ミュージックセラピスト・レイは穏やかな表情でじっと私の答えを待っている。

日本人的相手を気持ちを考える私としては、そんなに待たせるわけにはいかん。

で、結局、口から出てきたのが、

「好きなのは、レディガガかな。」

「え、レディガガ。つまり、コンテンポラリーポップが好きなのかな。」

「ええ、まぁ、そうですね・・・。」

「了解、早速、君が好きそうな曲を治療用にアレンジするよ。」

その後、彼が弾くアコースティクギターを聴きながら、ゆっくりとした呼吸法を習い、リラックスムードに導かれ、検査室へ向かった。

その際、つくづく思った。リラックスさせるには、やっぱり一般的にはリラクゼーション調の音楽よね〜。それに比べ、私の選曲は・・・。

少々不安が過ったが、もう後の祭りである。

CTスキャンというのは、ドーナッツ型の輪っかの中に寝転んだ私が出たり入ったりして身体の中が撮影されるものである。

今日はスキャンしつつ、放射線治療用の私の身体の型なるものをとるらしく、体温よりちょっと熱めのヌルヌルした液体が入った青いビニール袋の上に寝転ぶ。両腕を上げ、オッケーの形にさせられ、二人掛かりでテープで固定される。と、その時、いきなり、部屋にレディガガの声が鳴り響いた。

♬It’s doesn’t matter if you love, or capital H-I-M, just put your paws up cause you were born This way, baby♪

私のレディガガの一番のお気に入り曲、Born This way である。のっけから、覚醒的セリフである。

曲が始まると、脳が冴え渡る。まったく、眠気は誘われない。これでいいのか、ミュージックセラピー?まったく、癒される様子はない。

ナース達もドン引きしてるんじゃないかと思い、テープを固定してくれているナースの顔をちらりとみた。

顔がにやけていた。

”この患者、面白い曲選んできたわね〜。”と書いてある。

その顔を見たら、私もなんだか嬉しくなって、上半身はがっちり固定されたが、自由な脚でテンポを取った。

「あら、いいわね、すっかりリラックスしてるじゃない。」

ナースがにっこり笑った。

CTスキャンの施行中の間、レディガガを中心とした、流行りのアメリカンポップが数曲上手にアレンジされて部屋を満たした。

きっと、多くの患者はもっと神経を鎮める曲を選ぶんだろうと思う。

正直、私も最初は選曲ミスしたかなぁーって思った。だけど、やってみて、一言、”あー、面白かった。”

ナースさん達も、なんかノリノリになって、「あ、私、この曲好きだわ〜。」って話しかけてくれたり、やっていることはまったく病人向け治療なんだけど、気分は面白い実験や珍しいアスレチックって感じになれた。

それはそれで、いいセラピーになったんだと思う。

アメリカの最新治療ってやるな〜、とつくづく感心した。こんな最新治療を体験出来るのはなかなか面白い。

(まぁ、体験しないに越したことないですが)

だが、、、ご存知かと思うが、アメリカの治療費はそれこそ目が飛び出る程高い。

ちなみに、先週届いた保険会社からの治療費の内訳だが、病院の保険会社への請求額は、なんと、$88,012.64!!!

ひと月前の$5万ドル越えも息が止まりそうになったが、ほぼ$9万ドルという一回の請求額には笑いが出た。

もちろん、病院からの請求額に対して、「はい、そうですか。」と保険会社も支払いをすることはなく、交渉し、最終的には約半額で手を打つとう結果になるようだ。それにしても、$4万ドルである。幾ら何でもぼったくりであろう。病院側は半額程度になるのを見越して、請求しているのだろうが、いや〜、大阪商人真っ青のお値段のつけ方であろう。

現時点での、病院側の保険会社への請求総額は、既に$18万ドルを超えていた。実際の支払額は半分としても約$9万ドル。。。。

恐ろし過ぎる。良かった、保険があって。もちろん、自己負担額もそれなりにあるけど、この保険会社の負担に比べれば・・・。

一体、私の治療が終わるまで、保険会社はお幾ら支払うのであろうか??

保険会社に足を向けて寝られない私である。