スーザン・ラブ医師のセミナー

マンハッタンに在るJCC(Jewish Community Center)で、昨日乳がん研究のパイオニアであるスーザン・ラブ医師のセミナーが行われました。

このセミナーは参加希望者が多くウェイティングリストができる程で、参加ができなくなった時には連絡を入れるようにと、電話で念を押された程です。

スーザン・ラブ医師は、乳がんの聖書とも言われる ”DR. SUSAN LOVE’S BREAT BOOK” の著者で、乳がんに関する専門用語を始め乳がんとはどの様な病気か、そして現代の治療法から乳がんとの生き方などが書かれ、今回Sixth Edition が発行されました。そして今回は沢山の方からの希望で、スペイン語版も出版される事に成りました。

”3年前にご自分も白血病にかかり、今までは医師の立場で病気と取り組んで来たが、患者の立場から病気を考えるようになり、いろいろと気がついた点がある” とお話しになりました。そこで使われた言葉が新しい本の中にも書かれている”Collateral damage” です。

”Collateral ”を辞書でひくと、沢山の例が出てきますが、この場合は”巻き添え”と言う言葉が適しているかと思います。ラブ医師は、”医者はがんが再発をしないことに力を入れ治療方を決めるが、治療をすることで健康な部分の身体が巻き添えをくうことに目を向けていない” と話されます。副作用が与える身体へのダメージを、事故にあって凸凹になった車体にたとえ、”外から見れば何も問題が無いように直すことはできるが、前のようには走れない” と例えて語ると、会場からは拍手や歓声が上がりました。

30分程のスピーチの後はQ&Aの時間が1時間ほどとられました。

非浸潤性乳管がん(DCIS)の質問が多くの方から寄せられました。オンコタイプDXの検査で、抗がん剤治療が必要かどうかが分かるようになったと言う極最近のニュースも、抗がん剤をしないでも良い細胞と、しなければならない細胞がはっきりと分かるのは30%づつで、あとの40%はまだはっきりとしておらず、この研究は新しい視点から振り出しに戻って研究が始まったと話していました。

マンモグラフィーの質問にラブ医師は、今は両方一度に検査できる機械ができているとも言われました。日本人に多いデンス・ブレストの話もされ、MRIとコントラスト・マンモグラフィーはいろいろな物が画像に映るので問題があるとおっしゃっていました。エコーグラムは検査をする人の力のかけ加減で見落とすこともあるので、3Dのマンモグラフィーを強く勧められました。

また20年くらい前に遺伝子検査を受けた方で、結果に腑に落ちない部分のある方には、昔は分からなかったことが今は分かるようになっているので、新たに受け直すことも勧められました。また遺伝子検査はオンコロジストと話をするのでなく、遺伝子専門のカウンセラーと話をするようにと言われました。ほとんどのオンコロジストは遺伝子に関してはあまり知識が無いようです。

アロマターゼ阻害薬についての質問には、医師によって勧める治療方が違うと言うことは、はっきりとした研究結果が出ていないと言うことで、Collateral damageを考えタモキシフェンを変わりに服用することも考えに含め、薬を飲む期間や薬の種類を医師と相談しながら自分で決めると良いとも言われました。

ターゲットセラピと免疫治療の質問には、ターゲットセラピはターゲットが何であるかが分かれば効果を表すが、免疫治療は研究しなければならないことが数多く、これからの2〜3年の研究で大きくがん治療に発展をもたらすことが想像でき、乳がんのワクチンも夢ではないかも...と言われました。

今まではがんの種類によって治療薬はそれぞれ違っていたが、今は同じ薬で複数の種類のがんに効果が現れていることを発見し、この研究も続けられていると言われました。

がんは変化したした細胞と何かが重なって発生する様だが、がんの遺伝子を持っている方を除き、それが変化した細胞とストレスなのか、食生活なのか、環境なのかははっきりと分かっていないとも言われました。

抗がん剤があまり効果を現さないとされている、非浸潤性小葉がん(LCIS) は静かに胸に広がって潜伏する性質を持ちがんの発見が難しいので、タマキシフェンを服用してがんとなるのを押さえる方法も有りではないかと言われ、 非浸潤性小葉がん(LCIS)は非浸潤性乳管がん(DCIS)と同様に力を入れて研究が行われていると言われました。

また西海岸にお住まいのラブ医師は、ニューヨーク、ボストンと東海岸でもお仕事をしていた経験もあり、日海岸と東海岸では医師の考え方が違うことも話されました。

ニューヨークにお住まいの皆さんのセカンドオピニオンはカリフォルニアで...と笑いで終ったセミナーでした。

その後新しく出版されたばかりの本のサイン会が行われました。

私はお役目を承り、ラブ医師の目の前に座っていたため、近過ぎてマイクの前で話をしている写真が撮れませんでしたが、サイン会をしている写真をご紹介します。

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